健康基礎知識

腸と健康

腸の役割は、栄養や水分を吸収するだけではありません。食べ物や細菌に常にさらされている腸管には全身の免疫細胞の60%以上が集中し、有害なものを排除するとともに、全身免疫をコントロールしています。

小腸の末端にある「パイエル板」内では種々のリンパ球などの間で複雑に情報処理が行われており、腸管免疫とよばれる生体防御に関わる免疫機構において重要な働きを担っていることが判明し、その機能が徐々に明らかになりつつあります。

病原微生物に対しては免疫応答による排除、食物由来のタンパク質や腸内の常在細菌に対してはアレルギー反応などの異常な免疫反応が起こらないような免疫寛容が、それぞれ誘導されていると考えられています。

腸の状態が悪ければ、やはり腸管免疫もうまく機能できません。免疫系に不具合が出ると、病気になったり、アレルギー症状が出たりします。 体の健康を保つには、まず腸を健康にしなくては始まらないのです。

腸内環境をうんちでチェック

健康な腸とは、一体どんな腸を指すのでしょうか?

腸内環境そのものを目で見ることはできませんが、腸の状態はうんちをチェックすれば簡単に分かります。 理想的なうんちは、下痢でも便秘でもなく、1 日 1 回、80% 程度の水分を含み、臭いのきつくないバナナ状の黄褐色のものです。 何日もうんちが出なかったり、反対に水っぽくて慌ててトイレに駆け込まなくてはならないときは、腸内環境が悪化している証拠です。また、色が黒っぽい場合や、水気があまりなくてウサギの糞のようにコロコロしている場合も、腸内環境があまり良くありません

腸内環境が悪いと、腸の中にはうんちとして出せなかった老廃物がたまり、次第に「腐敗」していきます。食べカスから発生した腐敗物質は腸壁から吸収され、様々な病気の成因になっていくのです。 代謝が悪くなったり、肌荒れや肥満を引き起こしたり、体調を悪くしたりするのは、腸内環境の悪化が大きく影響している可能性があります。
健康や美容のためにも、まず腸内環境を整えることがスタートです。

腸内環境をうんちでチェック イラスト

腸内環境は腸内細菌で決まる

常在する腸内細菌は600兆個~1000兆個以上

腸の中では、たくさんの腸内細菌が私たち人間と共存して生きています。個人差はありますが、大腸粘膜に常在する腸内細菌は600兆個~1000兆個以上、種類は500~1000、重さにして1.0~1.5キログラムにも及ぶと言われており、この細菌の集団を「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と呼んでいます。指紋や顔がひとりひとり違うように、腸内細菌の種類と組み合わせは千差万別。これで腸内環境の善し悪しが決まってくるのです。肉眼では見えないような細菌が、腸内だけで1キログラムもいるのですから、体に大きな影響を与えるのも納得がいくでしょう。

腸内環境は腸内細菌で決まる

善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%

では、おなかの中にいる500~1000種類の腸内細菌には、どんな種類があるのでしょうか?体に対する働きで大別すると、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類になります。体に良い働きをするものを善玉菌、悪い働きをするものを悪玉菌、良い悪い働きどちらもするもの・機能が分からないものは日和見菌です。

善玉菌の代表がビフィズス菌や乳酸菌で、腸の働きを整え、便秘や下痢を改善してくれます。乳糖やブドウ糖を栄養にして増え、乳酸発酵を行って乳酸や酢酸を作り、腸内を酸性に保ちます。また有機酸やビタミンなどの体に有用な物質も産生します。

一方、悪玉菌の代表は、クロストリジウム、ウェルシュ菌です。腸内にある食べカスを腐敗させ、硫化水素やアンモニアなどの腐敗物質、ガスや悪臭のものとなる物質を作ります。またニトロソアミンや二次胆汁酸などの発がん物質や有害物質を作り出したり、病気の成因になることもあります。腸内細菌のバランスが悪玉優位になると、免疫調節力が低下し、アレルギーなどの症状にもつながるなど、数知れない悪い働きをしているのです。 日和見菌は、大腸菌、バクテロイデス、連鎖球菌など様々です。「良い悪い働きどちらもする」と書きましたが、これは、腸内で悪玉菌が優勢になってくると悪い働きをして、善玉菌が優勢だと良い働きをするからです。日和見菌については、まだ不明な点が多く、これから新たな役割が発見されるかもしれません。

腸内細菌のバランスは、便秘も下痢もなく毎日快便の人であれば、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%くらいの割合だと言われています。悪玉菌優勢になると大腸内で腐敗が起き、便秘や下痢になったり臭いうんちが出たりします。また、善玉菌優勢だと、大腸内で発酵が起き、水分80%ほどの良いうんちが作られ、毎日快便、うんちも臭くないということになります。
私たちの健康は、いかに悪玉菌を減らして善玉菌優勢な腸内環境を維持するかが大事なのです。